嘘つき③【-束縛-】
「何故、初めてではないと思う?」
部長は心底不思議そうに覗きこむ。
やだ、もう。自覚がないのが一番癖が悪い。
「…部長は、上手すぎるんですよ」
あたしは、恥ずかしくて布団に潜り込んだ。
本当に、
初めて。
キスだけしかくれないのに。
触れるか触れないかの仕草だけで
こんなに乱される。
抱き締めるのも、
無理やり押し倒すのも
あたしからなのに。
こんな自分、知らなかった。
俯いたあたしに部長が少し笑った気がして、また身体が火照った。