嘘つき③【-束縛-】
部長だから、あたしはこんなに焦がされる。今もし捨てられても構わない。
元々、そんな関係なんだから。
昔の青い関係とは間違いなく、違う。
「男は勝手だな」
部長が落とした低い声にあたしは顔を出す。
それが、昔の彼に向けられたのかは分からないけど。
「…もしも、昔の彼が、あたしを求めたとしても、あたしは選ばなかったと思う」
こんな想いを知らなかった。奪う、それよりも可哀相な自分が大事だった。
あたしはクスっと笑って部長を見つめた。
「部長程良い男じゃありませんでしたから」
勝手でもいいと、思える程。こんなに好きじゃなかった。