嘘つき③【-束縛-】
部長はクッと笑うと、あたしの首筋に触れた。
「冴木は嘘が下手だな」
その声が脳を侵す。
「なにが、ですか」
ああ、駄目だ。この人がこんな瞳をしている時は、逆らえない。
「…すまない」
その一言で触れた手程の熱さはすぐに消え去る。
「なんで…」
謝るんですか。謝って欲しい訳じゃないのに。
あたしは、湧き上がる感情を抑えきれなくて、部長の首に手を回した。
「冴木、俺は優しくないし、良い男でもない」
その声は何度聞いても胸を締め付けられて。
「かまいません」
あたしは、この人が好き。