嘘つき③【-束縛-】
どうして、


なんで、


あたしの頭の中、あの人でいっぱいなんだろう。

顔が好き、仕草が好き。だけど、それよりも


突き放した態度を取る癖に、包み込む様な雰囲気が好き。


全てを、縛りつけたくなる。




あたしは、小さく笑った。

――――触れなければ良かった。



「花梨!どうだった?」

部署に戻ってあたしを迎えたのは里穂の好奇心の瞳。

その質問が何を表すかなんて聞かなくても分かる。だけど、


「なにが」


口調は素っ気ない。気丈に振る舞わないと、話してしまいたくなるから。



里穂はフゥと可愛らしく息をついてまた瞳を輝かせた。

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