嘘つき③【-束縛-】
―――――…綺麗な人だと思った。
物腰は優雅で
守ってあげたくなる位儚くて
それでいて、年上のあたしが敬語を自然に使ってしまう位、洗練されたオーラ。
「部長は幸せですね」
自分の口から出る言葉に溜め息が出る。
かなわない。
何ひとつ。
だけど
彼への想いは負けない。
もしかしたら、あたしは今部長の事ばかり話しているのかもしれない。
彼女の知らないだろう彼を見せつける様に、あたしは、自分がこんなに醜かったのかと自嘲しながら。
それでもくすぶる僅かな期待。
目の前に座る人形の様な人への嫉妬。