嘘つき③【-束縛-】
-オモイ-
* * *
「久しぶりだねー」
生ビールを豪快に飲み干しながら里穂は明るく言う。
久しぶりに里穂と会社帰りに居酒屋に寄った。里穂ともゆっくり話してないし。家に帰ったって鳴らない携帯眺めるだけだし。
喉に流れる冷たいアルコールは美味しい。プハッと息を抜いて、あたしは里穂に返事する。
「忙しかったしね」
確かに、最近忙しかったな。
「あたしは暇よ」
里穂の口を膨らます仕草に苦笑しながら、あたしもまたゴクリとグラスを口にする。
「花梨さー、最近なんかあった?」
「え?」
なんか一瞬ドキッと。
その言葉が別に、いつものお決まりの話題だと分かっているのに。
「何もないよ、里穂こそどうなのよ?」
この受け答えも毎度の事なのに。