嘘つき③【-束縛-】
「あるわけないじゃん」
あっさりと切る様子に少し笑った。
「どこかに出会いないかなー」
女同士が集まれば話題なんて愚痴か男の話がお決まりで、あたしと里穂も例にもれず。
「出会いがあったとしても発展はないでしょ」
あたしは卵焼きを口に運びながらまだ苦笑を止めない。
「あんたの場合はさー」
里穂は一旦区切ってからニヤニヤと笑う。
「いい男に目やられてんのよ」
言い切る言葉に、そのいい男が誰か、なんて容易に分かる。
「そうかもね」
その良い男だけに悩んでるんだけどね。
あたしは言えない言葉を飲み込んで、溜め息をついた。