嘘つき③【-束縛-】
「冴木から誘うのは珍しいな」
呟いた言葉にすでに後悔したあたしに部長は笑う。
「仕上げる書類がある。待ってろ」
拒まない彼にあたしはつい微笑んだ。
久しぶり、久しぶりに会える。
いや、毎日会社で会ってるんだけど、二人で会うのは久しぶり。仕事が忙しかったし、あたし以上に部長の方が忙しい。
だから。誘うのはいつも部長。あたしは待っているだけ。
この『嘘』の関係が始まってから半年。数える程しか彼とは会ってない。文句なんてない。それが当たり前。今までは触れる事さえかなわなかった。
『芹沢愁哉さん』
その名を声にする度泣きそうになる。
だから、呼ばない。胸の内で、だけ。
あたしの衝動に似た感情で、どれだけ二人の時間を重ねても未だ冷めたままの瞳をした部長の傍にいる。
呟いた言葉にすでに後悔したあたしに部長は笑う。
「仕上げる書類がある。待ってろ」
拒まない彼にあたしはつい微笑んだ。
久しぶり、久しぶりに会える。
いや、毎日会社で会ってるんだけど、二人で会うのは久しぶり。仕事が忙しかったし、あたし以上に部長の方が忙しい。
だから。誘うのはいつも部長。あたしは待っているだけ。
この『嘘』の関係が始まってから半年。数える程しか彼とは会ってない。文句なんてない。それが当たり前。今までは触れる事さえかなわなかった。
『芹沢愁哉さん』
その名を声にする度泣きそうになる。
だから、呼ばない。胸の内で、だけ。
あたしの衝動に似た感情で、どれだけ二人の時間を重ねても未だ冷めたままの瞳をした部長の傍にいる。