キミがくれた光
バレンタイン
―バレンタイン―
とても小さい頃の記憶だけれど、一度だけお父さんにチョコをあげたことがあるような気がする。
よく覚えていない。
私は小学校でも中学校でも、友達が少なかった。
話しかけてくれてもいつもそっけない態度で、誰から見ても感じの悪い子供だった。
どこかで思っていた。
“あんたらとは違うんだよ”って。
誰も私の苦しみや寂しさを理解してくれるわけがないと思っていた。
友達と呼べる人がだんだん減って行った。
綾に心を許せるようになったのも、拓登のおかげかもしれない。
誰かに心の中を見せることで、自分が生まれ変われるんだと知った。
拓登が教えてくれた。