キミがくれた光
「綾ちゃんから全部聞いてるよ。鈴音ちゃんのお父さんに殴られてもいいから、いい演技するよ」
ニヤっと笑ったおっさんは、どこから見てもキモくて、綾のお母さんが嫌がること間違いなしだ。
「ふたりがどうなったか、報告してね。私と鈴音は買い物してるから」
本当は私達もこっそり覗くつもりだった。
でも、綾も私も買い物へ行こうと言った。
何も言わないけど、わかる。
怖い。
目の前で、お父さんが綾のお母さんとホテルに行ってしまったらどうしよう。
綾に嫌われる。
綾は、血のつながったお母さんなんだもん。
私のお父さんと実際にホテルに行く場面を見たら、ショックを受けるはず。
あんなに楽しげに計画していたはずなのに。
「そろそろ4時だ。あとは任せて」
おっさんは、自信満々な笑顔で席を立った。