To You
「宏樹、あの子お前の好みだろ?」


隣の席から遊が話しかけてきた。

オレの隣の席は遊。

偶然かって??
もちろんそんな訳ない。
思いっきり仕組んだ。


「ん~、まぁな。てか、よく分かるな、オレの好みなんて」


「だてに3年友達やってませんから!!」


「はは。そーだな」


なんて、話してる間に桐生さんはオレらの後ろに来た。


「よろしくな、桐生さん」


早速、遊が話しかけた。

「よろしく」

オレもつられて話しかける。


「てか、桐生さん教科書あるの?」


遊は目ざとい。


「うん、あるよ。今朝もらった」


「そっかー、残念。まだだったら、オレと席代わってもらおうと思ったのに~」


「遊!!だったら、オレが代わるし!!」

「何いってんだよ。オレが隣だったら、お前授業に集中できないだろ?」

「後ろの方が集中できねーよ!」



「あははっ」


後ろで、桐生さんが笑い出した。


「あっ、ごめん。笑っちゃった」


桐生さんが小さく笑いながら言った。


「いやー、いいって。宏樹のことだったらいくらでも笑っちゃって」


「おい!!」


「あははっ。ホントおもしろい。仲いいんだね、二人とも」


桐生さんの第一印象は「明るくていい子」。
顔もかわいいし、結構もてるんだろうな~。


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