To You
「宏樹さぁ、絶対いつか桐生さんのこと好きになるよ」
帰り道、遊に言われた。
「え~、まさか。桐生さんはいい人だとは思うけど、それはないだろ」
「分かんねーよ!オレだって、入学したころとか千紗のこと好きになるとか思ってなかったし。」
「くそっ。お前彼女いるからって調子乗ってんじゃねーよ!!」
「彼女いて悪いかよ~」
それから、遊とどつきあい。
こんなことをしてると、いつの間にか別れてしまう。
「お、じゃーまた明日な」
「またな」
その日の夜。
そろそろ寝ようと思って、ベッドに横になったら
“絶対いつか桐生さんのこと好きになるよ”
遊の言葉を思い出した。
遊にも言ったけど、
桐生さんはいい人だと思う。
でも、それだけ。
好きになりそうな人ってだいたい分かるし。
ま、好きにはならないだろうな。
って思ってた。
この時はまだ。
今思えば、この日の彼女との出会いがオレの人生を変えたんだと思う