To You
「おはよっ!!宏くん」
ある日の朝、学校に行く途中に後ろから春乃がかけてきた。
「おぅ!今日も寒いな」
「うん。ここんとこかなり冷え込んでるもんね。ホワイトクリスマスとかならないかなぁ」
春乃が真っ白い息を吐きながら寒そうに言う姿に、思わず見とれてしまった。
「あっ!そうだ。宏くんさぁ」
何?と言って、オレは先をうながす。
「幼稚園が、白野幼稚園で、小1まで神屋小学校にいなかった?」
「うん、そうだけど……なんで知ってんの?」
オレが、少し驚いて答えると、春乃はぱぁっと顔を輝かせた。
「やっぱり!?ねぇ、覚えてない?相坂春乃」
オレは、長いこと開けてなかった記憶の引き出しをの中を探し回った。
しばらくして、それらしい記憶が見つかった。
「相坂春乃……はるちゃん!?」
「そうだよっ!やっぱり、あの宏くんだったんだ」
相坂春乃、オレの初恋の女の子。
小2でこの町に引っ越してくるまで住んでたところで、隣に住んでいた子。
すごい仲良くて、毎日のように遊んでいた。