yet...
2分後には校門を通過できた。
よかった…間に合うかも
そんな安心もつかの間、
後ろから物凄い険相で
生徒指導の鍵山が追ってきた。
「こらーお前ら!」
両手を振りかざしながら
必死に走っている。
…なんか面白い…笑
「あいつ、うざいよね」
美久は不機嫌そうに
ペダルを漕ぐ足の力を強める。
「二人乗りは禁止だぁあ〜…」
鍵山の声が遠くなる。
「あ、止まっちゃった鍵山」
「さすがオッサン」
あたしたちも駐輪場に着き
[職員専用]と書いたスペースに
美久は堂々と停める。
「ぁもう27分だ」
美久は携帯を確かめている。
「3分もあれば余裕じゃん」
「あたしのお陰だよね」
美久はまた冷たい視線を送ってくる。
「…ありがとう」
渋々2度目の礼を口にした。
だって美久怖いんだもん…
「だけど鍵山ってさ」
「…あのオヤジが何?」
また美久は不機嫌になる。
…可愛いなあ
「よく見たら格好いいよね」
あたしは満面の笑みで
美久の同意を求めた。
「は?」
美久はそう言って
アッシュに染めた緩巻きのロングヘアーをいじっている。
あたしはもう一度笑った。
「なんか仕草も男ってカンジ」
美久の返事はない。
「優しいし」
あたしは美久の顔を見た。
俯いてはいるけど
彼女の頬はほんのり色づく。
「美久が好きなのも少しわかるかも」
「は?何言って…//」