yet...


「美久ってさ」

「なによ」

「大人っぽいし、綺麗だし、羨ましい。」


「それなんか怖い…優があたしを褒めてる…(笑)」


美久は困ったように笑う。

この表情が一番、
美久の魅力が見える。


「だから、鍵山にはもったいないって言いたいんだよ(笑)」

美久はそれを聞いて
ははっと呆れたように笑う。

「たしかにそうかもね」


鍵山はなんていうか…

こう、少年っぽい
あどけなさが残っている
27歳体育教師。

若干茶色い短髪を
いつもセットして立ててる。



「ぁ鍵山だ」


階段を昇ったところに、
鍵山は仁王立ちしていた。

ウワサをすればというやつで、
笑いを堪えるのに必死必死必死。


「ちょ、邪魔」

美久はそう言って、
鍵山の腕をつかんで
どけようとした。

が…

まさか鍵山があっさり
そうかい と退けるわけもなく


「おい、藤谷、松岡」

美久を見て怪しげに笑う。


「お前らさっき逃げたな?」

「逃げてないよ、鍵山が遅すぎて待てなかったの」


美久も負けじと笑いかえす。

「…わかった、藤谷お前あとで生徒指導室に来い」

鍵山は美久の頭に手を置いて
ぐしゃぐしゃと髪を撫でた。

美久は頭をさっとどけて
「やめてキモチワルイ」
と毛先をいじっている。


「逃げんじゃねーぞ?」


そう言ってにかっと笑う鍵山は、
何故か少し素敵だった。


「は?なんであたし?」

「松岡もついでに来るか?」
「いえ」
あたしはついでかーい(笑)



キーンコーンカーンコーン


「ほら、早く行け」
「あんたのせいでしょ」
「わかったわかった」

美久は顔を赤く染めていた。

可愛いなあ、もう。
わかりやすすぎだよ。


あたしも、早足で鍵山の隣を通りすぎる美久を追いかけた。

鍵山の隣にきたとき
鍵山がぽつり一言、


「やべ…俺」


とつぶやいたのを
あたしは聞き逃さなかった。


…♪
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