泣き恋

その日も、

いつもと同じ朝のはずだった。


「いってきまーす!」


玄関を出ると、外は一面雪。



「寒〜い!」




達也にもらった赤いマフラーを
口元までずり上げて、

思わず体を縮める。


「紗奈〜!!」


パッと顔を上げると、
横断歩道の向こう側で

達也がニコニコしながら
手を振ってた。


「おはよ〜!」


私も大声で叫んで手を振る。
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