泣き恋
それから私は、
ショウの家に住ませてもらうことになった。


最初のうちは、

「ヤルのが目的ならいつでもどうぞ」

って、思ってたけど

ショウは全然、
そんなそぶりを見せない。

私に一方的に話しかけ、

ゴハンをくれて、

同じ布団で丸まって寝る。



私は、そんな飼い犬みたいな生活を送った。



ただ無心に。



真希の部屋の隅っこで

うずくまってたときと同じように。




「ありがとう」
「うん」
「すみません」


くらいしか話さない私に、
ショウは、
会社であったこと、

電車でみつけたおもしろいオジさんの話、

公園で見かけた子供が可愛かったこと、

なんでも話してくれた。




私のことはなんにも聞かないで…。





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