泣き恋

きっとそうだ。



私はきっと、

なにもかも前に進むのが恐かったんだ。


感情が動くのが、

たまらなく恐かっただけなんだ。


何事もなく学校生活を送って、

誰かを好きになって、

友達と遊んで…。

そんな生活は、もうしちゃいけないって思ってた。

でも、ほんとは

「しちゃいけない」

じゃなくて


「できなかった」。


人とちゃんと向き合って、
深く付き合って…。



いつかまた、

去って行ってしまうのが恐かった。




これ以上、
傷つきたくなかっただけ。



達也との思い出にくるまって

周りから優しくされて


身を守っていたんだ。






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