泣き恋


こんなに温かい涙を流したのは、

何年ぶりだろう。



素直にうれしいって思った。



でも、



前に進む勇気は、今の私には、

ない。


まだまだ、ショウみたいに強くはなれないよ。


「今は、もうちょっとだけ、このタオル貸しといて。
きっと、ちゃんと返しにくるから!」



ショウは一瞬、
寂しそうな目をしたけど、
すぐに笑って


「待ってるよ」


って、言ってくれた。


そして…



玄関で靴をはく、私の後ろから

ギュッて抱きしめて


「こんな小さなカラダで、
全部抱えんなよ!」



そんな言葉をくれたんだ。




< 55 / 56 >

この作品をシェア

pagetop