しゃんぷー
『はー、きもち。』
しばらくすると
私のジャージに身を包んだ
郁がリビングへと姿を表した。
水分を含んで
さっきよりも落ち着いた髪は 少し子供っぽさを
感じさせた。
私の貸したジャージは、
やっぱり少し小さくて
彼の体は見た目よりもずっと
男の子なんだと気付いた。
「ご飯、バイト先から貰ったオムライスだけど。」
『ん、食う。』
郁は嬉しそうに
オムライスの置かれたテーブルに
寄り席についた。
私もその隣に腰を降ろした。
「なんか、郁ペットみたい。」
『はい?』
「餌を与えられて、寄ってくるペット。」
『何、言ってんの。』
「いただきます。」
郁をよそに
私はオムライスに手を伸ばした。
それをスプーンで掬い
口元に運んだ所で
黙っていた郁が
私を覗き込んだ。
『なら、俺飼う?』
そう言って、笑った。