しゃんぷー


「うー、さむい。」


思わず声を出してしまう程の 寒さに、私は自然と早足になっていた。

そのままの早さで
家の近くの公園まで
来たとき私の瞳に
黒い影が映った。

よく見るとそれは
人のようで

ベンチに深く腰を掛け
少し下を向き、ポケットに
手を収めている男の子。


さらに、よく見ると
私の母校の制服を着ていて
首には黒いマフラーがまかれている。




こんな寒さの中、
しかもこんな時間に
コートも着ずにじっと座っている。


私は少しだけ
怖くなった。

それと同時にさっきまで
早足で歩いていた足も
すくんでしまって
動かなかった。





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