しゃんぷー
どうして良いか
分からなくなった。
寒さで声も出ない。
もうすぐ家なのに
足も動かない。
彼はこのままで
大丈夫なんだろうか。
そんな状況を変えたのは
彼だった。
『‥いま、なんじ?』
「‥っへ?」
いきなりの問いかけに
私は驚いた。
声がした方を向くと
顔を上げた彼がいた。
公園の街灯に照らされた
彼の顔は
とても
整っていて、
大人の雰囲気を
感じさせた。
現代でいう
イケメンというやつだろうか。
しかし、
そこから覗く黒い瞳は
まだ、どこか幼さを感じた。
寂しげで
助けを求めているように
見えた。
まるで捨てられた猫のようで
私は彼の姿に
一瞬にして目を奪われた。