嘘つき④【-理由-】
* * *
愁哉に出会ったのは、去年の終わり。
多分、あの人は自分の娘と出会わせる為に連れて来たんでしょうけど。
純粋で真っ白なお嬢様。私を信じて疑わない義理の妹。
あの透明な瞳に見つめられる度、怯んでしまう。彼女は知らない。相手を移す鏡のように色を変えるそれがどれだけの威力があるかなんてこと。
「義理」の関係が途切れた今でも彼女の好意的な視線は変わらない。
私がこんなに黒いなんて知らずに。
だから、
愁哉が頭を下げて、顔を上げた時、その獣みたいに冴えた瞳を見た時。
恋、によく似た衝撃が走った。
事実、もしかしたらそうだったのかもしれない。
一目で分かった。
ああ、私と同じ人種だって。