異人の界
体がこのようなことになり悩み苦しむ理由は人それぞれなわけだがたいていの者はまずこれに頭を抱えるだろう。


メシが不美味い。


例に洩れず俺も同感だ。
こんなふうになる前に美味しく食べていた物が全く口を通らなくなったことに始めはだいぶ戸惑ったが今ではかなり解消された。


それに反してこれは一層悩みが深まる問題なのだが……、


周囲の人間がどんどん減ってきている。


親、兄弟、恋人、ご近所さん……、

今更昔の食事に戻す気はさらさらない。

いずれこうなることはわかっていたわけだが元々出無精の俺には食い物を探しに街に出るのは想像するだけで面倒臭い。



話しは変わるが近々人間は滅ぶだろう。
こんなことは俺が悩む問題じゃないんだがね。

温暖化やら食料難やら核問題やら散々言われてきたことに興味のなかった俺が今更瀬戸際まで押し迫った問題に口を出すのはおこがましいってもんだ。


この人類の滅亡への道が誰かの目的の下のものなのか自然の摂理なのかは俺には知るよしもないが最後まで残るのは寂しそうだから遠慮したいところだ。
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表紙・目次

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