残り香
30分程度は走ったのだろうか。
相変わらす怪しげな彼は話を止めない。
よくしゃべる。
ヤニの匂いと、安っぽい車の芳香剤が気分を余計に悪くする。
「あとどれ位?」
とにかく今すぐに車から降りたい。
そう思いながら鈴木に聞いてみた。
「もうすぐ」
想像どうりの答えが返ってくる。
交差点の角にある交番を右手にみて、
その先の細い路地に右折する。
一方通行かと思われるほどの細い道で、信号待ちをしている対向車とすれ違う。
農地でも分譲したのだろう、建て売りの同じような形をした家が多く立ち並ぶ路地を走り抜け、
現在は廃墟になっている製材所、
関東製材とかいてある看板が掛かる倉庫が建つ空き地部分にワンボックスが入っていく。
空いてる場所を探し、バックで駐車した。
やっと外の空気が吸える。
スライドドアが開きホッとする。
町中なのに空気が新鮮に感じたのは何かの勘違いだろうか。
「帰りたい」
来たことを後悔した。
薄暗い路地を歩いていると踏切の遮断機の電子音が聞こえてくる。
確かこの辺りを私鉄が走っていたっけ。
一軒の美容室の前にスーツ姿の男性が20名程、
それに準じた服装の女性が15名程、
いくつかの群れに分かれ何やら話をしている。
何名かは名刺交換をしているようにもみえた。
”いかにも・・・”な男がやってきた。
脇に抱えた黒塗りのセカンドバッグが妙に絵になる。
そのバッグから何やら取り出す。
名刺を差し出した。
その男の名が谷崎だということを知る。
右手首の太い喜平のブレスレットが目立つ。
と同時に、にやける顔がそれ以上に気になった。
目が笑っていないその表情が、余計に谷崎を不振な男に思わせた。
相変わらず谷崎はしゃべりを止めない。
口から産まれてきたような男の典型だ。
美味しい話はとやらは、もう懲り懲りである。
再び脇に抱えたセカンドバッグから何かを取り出した。
タバコに火をつけた。
相変わらす怪しげな彼は話を止めない。
よくしゃべる。
ヤニの匂いと、安っぽい車の芳香剤が気分を余計に悪くする。
「あとどれ位?」
とにかく今すぐに車から降りたい。
そう思いながら鈴木に聞いてみた。
「もうすぐ」
想像どうりの答えが返ってくる。
交差点の角にある交番を右手にみて、
その先の細い路地に右折する。
一方通行かと思われるほどの細い道で、信号待ちをしている対向車とすれ違う。
農地でも分譲したのだろう、建て売りの同じような形をした家が多く立ち並ぶ路地を走り抜け、
現在は廃墟になっている製材所、
関東製材とかいてある看板が掛かる倉庫が建つ空き地部分にワンボックスが入っていく。
空いてる場所を探し、バックで駐車した。
やっと外の空気が吸える。
スライドドアが開きホッとする。
町中なのに空気が新鮮に感じたのは何かの勘違いだろうか。
「帰りたい」
来たことを後悔した。
薄暗い路地を歩いていると踏切の遮断機の電子音が聞こえてくる。
確かこの辺りを私鉄が走っていたっけ。
一軒の美容室の前にスーツ姿の男性が20名程、
それに準じた服装の女性が15名程、
いくつかの群れに分かれ何やら話をしている。
何名かは名刺交換をしているようにもみえた。
”いかにも・・・”な男がやってきた。
脇に抱えた黒塗りのセカンドバッグが妙に絵になる。
そのバッグから何やら取り出す。
名刺を差し出した。
その男の名が谷崎だということを知る。
右手首の太い喜平のブレスレットが目立つ。
と同時に、にやける顔がそれ以上に気になった。
目が笑っていないその表情が、余計に谷崎を不振な男に思わせた。
相変わらず谷崎はしゃべりを止めない。
口から産まれてきたような男の典型だ。
美味しい話はとやらは、もう懲り懲りである。
再び脇に抱えたセカンドバッグから何かを取り出した。
タバコに火をつけた。