病んでいても愛したい。
指先は相変わらずケータイをいじり続ける。
耳にあてても、私の求める声はない。
「……っ」
まずい、私もまずい状態になってきた。
過呼吸になりそうだ、胸が苦しい。
コンクリだろうがお構いなしに膝をつく、こんな夜中に出てきたのが間違いだった。
夜、独り。
寂しさ、不安。
最悪のシチュエーション。
精神的弱者がもっとも避けなければならない、場面に立ってしまった。
「かぐ、ら……」
涙しそうになる。
右耳で電話の呼び出し音を聞きながら、左耳でコツコツした足音を聞いた。
人が来たのだろう。
それだけのこと、来た人にしてみればこんな時間に倒れ込んでいる私は変人でしかない。
近寄らずに通り過ぎてほしいのに。