病んでいても愛したい。
(二)
「いや、心配かけてわるいね。タバコ買いに出かけただけだから」
明かりがついたリビングで、タバコをくわえる神楽の指。
案外、似合っているなと思うのは、このタバコを吸う姿を見るのはこれが初めてだったから。
神楽はタバコを吸わない。
人格の誰かが吸うので、神楽の部屋にはタバコの箱があるのは知っていたが。
「んー、でも、まさかパジャマ姿の素足で探しにきてくれるとは。あんたもなかなかの異常者だね」
「……焦っていただけです」
朔技さん。
初めてあった彼女は、へらへらと笑う人だった。
話しながらタバコを吸い続け、今は二本目。
はあと息を吐くたびに、白い煙が充満する。