病んでいても愛したい。
火を点けて、すーはーして……あ、まずいって顔をした。
「ダメだね、こりゃ」
顔に相違ない感想を出しながらでも、朔技さんは吸うのをやめなかった。
「試しって……タバコの銘柄を変えるんですか」
「まあね、あたしはマイルド・セブン(このまま)でいたいけど、十月だかに値上がりすんのよ。400円はさすがに痛いからねぇ。
だからやめて別のタバコに手を出したんだけど、ダメだね。吸う?」
差し出されたマルボロを拒否する。
拒否をするのを予想してたか、へらへら顔で可愛いなぁと朔技さんが言ってきた。
「美味いよ、タバコ」
「吸いたくないです」
「神楽が吸わないから?」
「別にそういうわけじゃありませんけど」