病んでいても愛したい。


火を点けて、すーはーして……あ、まずいって顔をした。


「ダメだね、こりゃ」


顔に相違ない感想を出しながらでも、朔技さんは吸うのをやめなかった。


「試しって……タバコの銘柄を変えるんですか」



「まあね、あたしはマイルド・セブン(このまま)でいたいけど、十月だかに値上がりすんのよ。400円はさすがに痛いからねぇ。

だからやめて別のタバコに手を出したんだけど、ダメだね。吸う?」


差し出されたマルボロを拒否する。


拒否をするのを予想してたか、へらへら顔で可愛いなぁと朔技さんが言ってきた。


「美味いよ、タバコ」


「吸いたくないです」


「神楽が吸わないから?」


「別にそういうわけじゃありませんけど」



< 109 / 127 >

この作品をシェア

pagetop