病んでいても愛したい。
「傷……増やしたんですか」
「は?いや、あたしは知らんけど」
袖をたくしあげる朔技さん。自分の腕見るなりに「あらま」とか他人ごとみたいに見ていた。
真新しい傷が何本か。
最近は、神楽しか出ていないはずだ。
私が見ている分には、自傷行為なんかしていないはずなのに。
「神楽……」
「はは、神楽もバカだねぇ。下らない、傷増やしてもなーんにも変わんないのに」
落ち込む私と相反するように笑う朔技さんにはびっくりする。
ぱっくりした傷。
それこそ、スプーンでゼリーを軽くえぐったみたいな傷に爪をたてた。
血ではなく膿が傷口からじんわりと出てくる。
「朔技さん……!」
「傷つけて何が楽しいんだか。……大切な奴、泣かせるような傷をさ」