病んでいても愛したい。
私を抱く腕に手を添える。
「神楽……」
言えば、後頭部にあった彼の頭が沈む。
私の首もとまで唇がきて、長く深呼吸をしているようだった。
「神楽、帰ってきたの?」
沈黙。
だけど私を抱く腕が強くなっていく。
「――。夢、君の夢、見られなかった」
やっと聞けた穏やかな音色。でも、悲しみ交えた落ちているあの人の――
「じゃあ、現実で私を見よう。ね」
優しく、会えて嬉しいと言えば、彼は私の首もとに口づけをした。