病んでいても愛したい。


「んー、すっきりとしたいタイプだから片付けたいんだけど」


「……、きてくれないか」


手を引っ張られて、彼に抱き寄せられる。


背中を撫でられて。


「ありがとう、本当に。俺には錐恵しかいない」


それでノックアウト。


言葉一つで安心してしまう彼の魔法だ。


うん、と頷いてそのままベッドに入る。


洗い物はデスクトップどころか、床上。私も寝るには適していない私服だけど――彼が求めてくれるなら応えたい。


長い枕を二人で共有し、青い毛布を二人で使う。


寄り添って、彼の胸板に額をつけた。


「あったかい」


「俺も」


「これからあったかい季節になるけど、どうしよっか」


「汗ばんでも一緒にくっついて寝たいな、俺は」


「うん、気が合うなぁ」


< 24 / 127 >

この作品をシェア

pagetop