病んでいても愛したい。
一時だけの永遠。
短い時間でも、涙が出るほどに永遠とも感じられる愛情。
「神楽……」
「うん、なに」
「私がいるから、私に全部背負わせていいから」
「……、うん」
「だから、苦しまないで」
「――、うん」
抱きしめられた。
このまま殺してもらっても構わないほど、優しくて温かい大きな愛情を受け取る。
――どうして、神楽なんだろう。
好きな人が痛い思いをして、苦しいことをして、辛い中を生きている。
それが耐えられない、神楽に悲しい思いなんかさせたくないのに。
現実はいつだって残酷で、人間が“生きやすい”ようにはできていない。
私もその一人で、神楽は人生から脱落しそうになっている。
「俺は錐恵を手放さないよ。愛しているから」
一番生きていてほしい、優しすぎるこの人が。
いつもその目はずっと下を見ているんだ。