病んでいても愛したい。
人間破綻したモノ。
現実を生きているくせして、生きていくのが困難な作りのモノ。
それが私と神楽。
神楽が私の頬をなぞる。
「一緒にいたい願望があっても、いられない。錐恵に言わせるならバイトもしくは家族がいるからとずっとここにはいられないだろう。
願望の障害があるんだ。一歩踏み出せない、幸せになりたいのに“その他全てを捨てられない”、全てを失うのが怖いっていう意思が君にはある」
「そう、だね。だから?」
手錠をわざと引いてカチャリと鳴らす。
だからこんなことしたの?と目だけで伝えれば、目をそらされて抱きしめられた。
落ちてくる体。重くとも、苦しくても、私からすがってしまうような温かさがあった。