病んでいても愛したい。
「だから、俺が錐恵の意思を無理やり奪う。選択権を与えない、無理やりに君の願望を叶えよう。
意思を奪い、願望を叶える。言葉にしたら、素敵じゃないか?」
「意思は大切だと思うんだけど。私は神楽以外に色々と“持っちゃってる”から」
「俺は君しか持っていない。君しか……君だけでいいよ」
「……」
「……」
沈黙する中、衣擦れの音がやけに耳についた。
後は吐息。私のだ。
「ずっと一緒にいよう、錐恵。俺はずっと君を愛しているから」
「……、分かった」
承諾したのは、私もそうしたいと思っていたから。
彼の言うとおりだった。
願望を叶えるために全てを捨てる勇気は私にはない。
だから、他人によって無理やり叶えさせてもらうのは都合がいい。