病んでいても愛したい。
勝手知ったる人の家。というよりも、救急箱を買ってきたのは私だった。
切るならせめて手当てしてほしい。
そう思い買ってくれば、神楽なり深なり、もしくは“別の人”が使ってくれてはいる。
寝室はシングルベッドが一つとデスクトップ一つ。ノートパソコンが開いたままで黒い画面が暗い私の顔を映していた。
青い毛布には黒い染みが点々と。白いシーツの端は赤色で汚れていた。
前々からある汚れ。何かは聞かずとも分かるし、今はそれどころじゃない。
デスクトップの一番下の引き出し。取り出して、リビングに戻った。
「わりいな」
「大丈夫だから」
深の隣に座り、救急箱を開ける。
「包帯あっか?一昨日、朔技(さくぎ)が出かけんのに使ったんだよ」