病んでいても愛したい。
* * *
“虚無が実無となりて、己が抱くは虚空の実無なき悲しみ”
絵に添えられた文章を読む。
すーすーとベッドで眠る十六夜の気配を背中越しに感じながら。
泣きつかれたか先ほど眠った彼女をベッドに寝かせた、重くともやる気になればやれること。
今し方毛布もかけて、どっこいしょだなんて言っちゃったりもして、床にあった画用紙帳に手が行った。
一枚一枚めくっていく内にあったもの。
誰かの背中と後頭部。
後ろ姿で、その人は己を抱いていた。
ぎゅっと己自身の手で。
神楽にも見えたが微妙に違う。
次のページも文章つきの絵だった。