病んでいても愛したい。


これを聞いて、『神楽』だと実感した。


夢の話をするのはいつも神楽だ。


第一、こうも私に『安心』がある時点で今の人格は神楽だと断定できる。


「私がいてもやっぱりダメか……」


「違う、そうじゃない。君以外の夢なんて、全部、要らない夢だよ。嫌な時間を過ごした気分になる」


「悪夢ではなかったんだ、それじゃあ」


「まあ、ね」


「……。『悪夢』の話、聞いてもいい?」


「……」


口ごもる神楽。
悪夢の話、要は昔の記憶でもバックしてんだろうと深は言っていた。


それ以上は聞かせてもらえないし、深自体も神楽の全てを把握しているわけではない。


そうして、分からない者の一人である私は聞いてみたかった。


< 98 / 127 >

この作品をシェア

pagetop