修学旅行★幼なじみと甘いキス
「…イイ」


しばらくの間

翔のサッカープレーに、すっかり目が釘付けになっていると、

その様子を見物していた三浦さんがとつぜん、独り言のようにつぶやいた。


そのまま両手をギュッと握り合わせて、感激した様子の三浦さんに

側にいた友達が、ふっと顔をあげて話しかける。


「えっもしかしてエリも?翔くんのこと…」

「うん。っていうか今の彼見て、そう確信した」

「あはは、即答?しかも今って。それ、めっちゃタイムリーな話じゃん」

「だって、思ったんだもん。好きって。
今ほんとにそう思ったんだから、ウソ付いてもしょうがなくない?」


ごく当たり前のことを、ごく普通に言ってのけた三浦さんに対して、

側にいた友達は、彼女の性格を初めから知っているのか


特に驚くわけでも、責めるわけでもなく、


「ま、エリが相手なら勝ち目ないかぁ。修学旅行、がんばんなよ」


そう一言、残念そうにつぶやいて、三浦さんの背中をポンポンと叩いていた。


そのまま

気を取り直したように、再び男子たちの試合へ視線を戻したかと思うと、
今度はさっきよりも大きな声をあげて応援しだしてる。


「赤チームがんばれーー!」

「翔くーーん!!」


このとき

今あそこにいる翔を見て、感じ取った気持ちを

誰にもごまかすことなく、素直に口にしてみせた三浦さんを前に

わたしは一瞬、心のどこかで焦りを感じたと同時に、


なぜか分からないけど
何かとても言いようのない、ムカムカとした気持ちがこみ上げてきて

とっさにわたしは、自分の唇をかみしめてこらえた。
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