修学旅行★幼なじみと甘いキス
“ねぇねぇ知ってる?
あそこにいる赤の背番号9番の、広瀬くんて
中学んとき所属してたサッカー部が去年、全国大会の優勝チームで、しかもバリバリのエースだったんだって!
そのとき、有名なチームの監督も大勢見に来てたらしいんだけど
試合後、彼のプレーを見て何人もの監督がスカウトしに来たらしいよ”


“えー、すごーい!”


“それって、広瀬くんの実力がプロにも認められたってことだよね!?”



まるでホンモノの試合を見させられているようなその光景に

二人とも瞳をポカンとさせて見ていると


中学のときから続いている、翔のサッカーでの活躍ぶりは
他校のクラスでも話題になっていたのか

ウワサに詳しそうな女の子たちの、ヒソヒソと話す声がした。


そのままお互いの顔を見合わせて、はしゃぐ女の子たちを前に

今の会話を、耳をダンボにして聞きつけたあさみちゃんが、突然クルッとこっちを向いた。


「ねぇ今の聞いた!?
あの人、全国大会の元優勝チームで、エースだって!」

「らしいね。じゃあわたしが前にクラスの人から聞いた
“南中のサッカー部で、ずば抜けて上手い人”って、彼のことだったんだ」

「そういえば加奈子もあの人と同じ南中出身なんだよね。
ねぇ加奈子、今の話本当?」


突然あさみちゃんから話題を振られて、背中がビクッとする。


でもうまく答えられずに

ただ「うっ、うん…」とだけつぶやいて、目をそらした。
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