修学旅行★幼なじみと甘いキス
「…加奈子??」


それを目にした瞬間

思わず自分の背筋がゾクッとして

とっさに、胸を押さえていた手をギュッときつく握りしめたわたしに

側にいたあさみちゃんがキョトンと顔をあげる。


少しの間、わたしは黙ってそこに立ち尽くしていたあと

すぐにハッとして、ごまかすように笑った。


「あ…、な、なんでもない」


わたしの言葉に、あさみちゃんは「そ?」と笑い、また試合に集中しだした。


気がつくと周りにいる女の子たちの視線は、いつの間にか翔たちの方へと集まっていて、わたしは一人下を向く。


「……」



…今のはきっとわたしの見間違いかもしれないし

確信なんかないのに。


でも…

何なんだろう、これ…

イヤな予感がする。



そんなわたしの不安をよそに

ピッチでは、直哉くんが交代の男子と軽いハイタッチを交わし
お互いの背中をトンと叩いたかと思うと、コートの中へ走っていく。


そして審判の合図で

ラインの外に立つ青チームのひとりが、ボールを頭の後ろへ抱え持った、その瞬間


ピピーッ!という

試合再開の笛が鳴り響いた。
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