修学旅行★幼なじみと甘いキス
まるで半円を描くように
大きく前へ投げ出されたサッカーボールは

側にいた両チームのヘディングのぶつかり合いによって

もう一度、空高く上へ跳ねあげられたかと思うと

タイミング良くその場所に駆けつけた直哉くんが
それをうまく足でキャッチし
青チームのボールにつなげる。


そのまま一気に相手のゴールエリアへと突っ切って走る直哉くんを前に


その様子を食い入るように見ていたあさみちゃんが

とつぜん、詩織ちゃんのジャージのそでをつついて引っ張ったかと思うと
慌てたように口を開いた。


「ね、ねぇ詩織。今新しく交代で入ってきた新垣くんも
もしかしてサッカー上手い…?」

「うん。たしかに上手いね。相手のフォワードをうまく抜いてキレイにボールをつないでる」



「ほんとだ…」


運動神経バツグンで、しかも努力家な詩織ちゃんは

得意の陸上以外にも、スポーツ関連にはめっぽう詳しいのか

今の直哉くんの動きを見て、すっかり感心してる。


それにつられるように、わたしも自然と驚きの声をもらしていた。


…直哉くんも、実は以前からサッカー経験があるのかもしれない。


表情は真剣ながらも
慣れた足取りで、しかも着実にボールを前へ運んでいくその姿は

さっきのプレーで注目を浴びていた翔と、どことなく重なるような気がした。


「直哉いけー!」

「1点決めろー!!」


直哉くんがピッチに入ってきたことで
今までの試合の流れが一気にガラリと変わったかのように


青チームの間で、何度も短いパスが繰り返された末
再び直哉くんの元にボールが戻ってくる。


直哉くんはそのボールもうまく回し込んで自分のモノにすると

すぐさま向きを変え相手のゴールエリアへと走り

そのままシュートを入れようと、奥のゴールネットめがけて前足を踏み込み、片足を大きく後ろへ振りあげた。


そのとき――

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