修学旅行★幼なじみと甘いキス
「翔!ナイス!!」

「はぁぁー、またあの9番かよ…」


その直後

翔が蹴りだしたボールはあっという間に敵チームのゴール下へとバウンドし


「オォォー!」と太い歓声がわきあがる翔たちのチームと

反対に、がっくりと肩を落としてうなだれた様子の、直哉くんのチーム。


両方の声が複雑に混じり合いながらも
男子たちのいるグラウンドはますますヒートアップしていく。


「……」


そんな中、

今の翔の行動に驚いたのか

ボールを奪われたきり、その場に立ち止まったままの直哉くんが
今も目の前に立って背を向けている翔の顔を、ハッと見る。


するとそんな直哉くんに対し

翔はなぜか敵意をむき出しにするようにして、とつぜん睨みつけてきたかと思うと

ひとりア然とする直哉くんの真横を、ただ無言で通り過ぎていったんだ。



「直哉どんまい!つか今のプレー、イイ線行ってたぞ!
次はぜってー1点入れてやろーな!」


そのとき、青のユニフォームを着た男子が走ってきて、直哉くんの肩をポンッと叩く。

するとその声で、はっと我にかえったように直哉くんは顔をあげた。


「直哉?」

「え? あ、あぁ…」


……?

なんだ?今の…


そう言いたげに、直哉くんは腑に落ちない表情で首のうしろを手でさすってひねりながらも

疑問がちに自分の名前を呼ぶチームメイトからの声で
再びコートの中を戻っていった。
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