修学旅行★幼なじみと甘いキス
「えっそうだったの?全然気づかなかった…。
っていうかそもそも何で、新垣くん限定?」

「さぁ?あくまでわたしが客観的にそう感じただけだから、理由までは知らないよ」

「えぇー?何それ!」


それこそ納得いかないんだけど!


そう言って、あさみちゃんは横でさっそくブーイングを始めるものの

当の詩織ちゃんは全く聞く耳を持たない様子でさらに話を続けた。


「新垣くんが途中から入ってきて試合の流れがずいぶん変わったのはイイけど
10も差が開いてるんじゃ
よっぽどのことがない限り、新垣くん側のチームが逆転することは難しいだろうね。
男子たちにも疲れが見えてきてるし。
今はとにかく1点でも多くゴールを入れて
相手チームの得点に少しでも追いつこうって感じかな」


「うーん、確かにどっちが勝つかは正直もう分かり切っちゃってるとこもあるけど…。
でも!肝心なのは勝つとか負けるとかそういう事よりも、まず残りの時間をいかにどうプレーしてみせるかじゃない?
やっぱ重要なのは中身だよ中身!」


あさみちゃんの言おうとしている事はわたしも、その通りだと思った…。


そしてその気持ちは、今もあそこで懸命にプレーしている直哉くん自身も一緒なのか

さっきよりももっと大きく手足を動かして、必死にボールをつなげてる。


しばらくその光景を、わたしは一人胸をハラハラとさせて見つめながら


ふとわたしの記憶に

どこか責め立てるような目で、直哉くんのことをジッと見ていた、あのときの翔の姿が、
とっさに頭をかすめて……


わたしはハッと目を開いた。
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