修学旅行★幼なじみと甘いキス
「…――っ」

「そーいや今日、昼んときもバス降りてすぐ
おまえ、…またあの直哉ってやつと何か話しこんでたみてーだし?
今夜、黙ってそいつと会う約束でもされて、浮かれてんじゃねーの?」


まるで最初から決めつけるような口調で言われ

翔は一瞬、どこかとてもやるせないような目でわたしを見下ろしてきたかと思うと
すぐさまヘッ、と吐き捨てるように笑った。


そのままブンと勢いよく顔を背け、黙りこんでしまった翔に

動揺したわたしはとっさにその誤解を解こうとする。


「…あ、あの時は直哉くんの様子が気になって
その、少し話したりとかはしてた、けど…
でもじっさい翔が今言ってるようなことは全然言われてないし、聞いてないよ」

「……」

「それに……」



“向こうはそうだと思ってない”



さっきから翔が何かやたらと誤解している、そのこと以前に


実はあの会話のあと、
どこか思いつめたようにも見える直哉くんには、なんだか声をかけずらくて…


お昼にいったんバスをおりて
そこでいきなり、翔の話題を持ち出されて以来

本当はあれからまだ、同じ班の直哉くんとは一言も話せずにいるんだ。
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