修学旅行★幼なじみと甘いキス
「あいつ…翔がさ、いくら待ってもなっかなか来ねーから…
いちおう修旅の委員だし、なんか重要な話しでもしてんのかと思って軽く様子見に戻って来たんだけど。
そしたらそん時ここでたまたま高橋ちゃんと翔の話しをその、偶然聞いちゃってさ…」


そう言って、健くんは半分段差で見えなくなっていた体を
一度前に軽く押し倒したかと思うと

残りの階段をあがって、どこか申し訳なさそうな様子でこっちに近づいてきた。


そのまますぐ目の前へとやって来た健くんに
わたしはあわてて溢れ出ていた涙を両手でぬぐう。


「…たしかに高橋さんたちとは
あんまっつーか、や…ほぼ交流なかったし
俺らの方も普段から勝手にバカやって騒ぐことしかしてねーから
んな男だらけのムサ苦しい部屋にいきなり来いっつわれても
女子なら普通、ビビって構えちゃうよな…、うん;」

「あ……」

「まぁけど暑苦しいなりに、他の女子メンも呼んでるってか
一応、今んとこマドンナたちも来るって話だからさ。
安全っつーのはさすがに言い方アレかもしんないけど、その面に関してはほんと、安心して!」


ほんのついさっき、わたしが翔に向かって「絶対行かない」とムキになってまで断言するほど
強く言い切ったその、本当の理由が

男子たちだけしかいない密室の空間に、
女の子少人数が無防備であがる事に対して

わたしが強い警戒心を抱いているからだと思い込んでいるのか(それもなくはないけど…;)

健くんはそこまで説明すると、どこかとても申し訳なさそうにパンッと両手を合わせてみせた。


そのまま頭まで下げ出した健くんに、

わたしはとっさにその誤解を解こうと、うつむいていた顔をあげようとするものの

そのすぐあとに、健くんの口から聞いたある言葉に、わたしの動きがピタッと止まる。



“他の女子メンもいるっつーか、
一応マドンナたちも来るって話だからさ”



他の女の子たちも来る?


…三浦さんも?
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