修学旅行★幼なじみと甘いキス

◆連れ出す手


そしてとうとう回って来た、時刻は夜の9時55分。


それまでは三人とも
宿泊先の部屋でゴロンと寝転がってテレビを眺めては、
家から持ってきた、おやつや雑誌、マンガを一緒に回し読みしながら食べつまんだり

あさみちゃんから始まった
本気の枕投げ合いを意味もなく延々やっていたりと

それぞれにお互い、修学旅行生らしい時間(?)を過ごしていた。



「!…そろそろやって来る感じ?」

「来た来た」

「二人とも、今すぐふとんに入って!!」



でもある時ふと、
誰かのザッ…と、こっちへ近づいてくるような足音に

さっきからケータイで時間とメールを入念にチェックしていたあさみちゃんが突然
シッ、と大きく息をひそめる。


そして詩織ちゃんの合図で
全員すばやく畳(たたみ)の布団へと飛び込み、あわてて毛布をかぶった瞬間

出入り口の方からコンコンと、誰かのノックする音がしたかと思うと、
奥にある襖(ふすま)がスッと開いて、担任の矢野先生が現れた。
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