修学旅行★幼なじみと甘いキス
「……って、ん?!あっれェ?!
――誰かと思ったら、高橋ちゃんじゃん!なになにいつの間に来てたの?!」


全員総出(ぜんいんそうで)になって、一気に布団をまくり上げると

そこにいたのはなんとユーレイではなく

れっきとした人間の、しかも同じクラスメイトで…


逆にエッ?と意表をつかれた様子の男子たちが一斉にドッとこっちへむらがってくる。


「お、ほんとだ、高橋だ」

「つーか何でここに?;」

「もう脅かさないでよ高橋ちゃ~ん」

「んだよもう!そーならそうと早く言ってくれりゃあいいのに!
俺もう一人で便所行けねぇかと思って…
って、え?翔――?」


でもそこにいたのは女子のわたしだけでなく

同じ布団から、あの翔もムクッと起き上がってきたことに


さっきまでパァッと明るくなっていた男子たちの顔が
いっせいにピシッ…と凍りつく。


そして次の瞬間、一気にものすごい声をあげた。


「え、えぇぇえ!?」

「はぁぁぁ?!」

「んだよこれ?どーゆうこと!?」

「ひ、一つ布団の下で、意味深な男女がぁぁ;」

「ふ、不潔…!」

「翔…!!おまっまさか…俺らが隠れてっ隙に
この布団ん中で高橋ちゃんと、ピ、ピィ━━━なことをォォ;」

「ハッ、てことはもしや俺がさっき聞いた声は
まじで空耳じゃなかったっつオチ!?」


まじかよ~!?

これはどういうことか今すぐ説明しろよ翔~;


「翔…」

「……」


後ろで男子たちのヒドイ叫び声がする中、

今も黙ってる翔を見て、どこか焦った表情を向ける健くんをよそに


やっとの思いで布団から起き上がったわたしは、真っ赤になった顔をグッ…と俯かせる。



「…わたし、帰る」



その言葉に今まで大騒ぎしていた男子たちの声が一瞬ピタっと止んで

全員「エッ」とこっちを振り向いたものの、

構わずわたしはここから立ち上がる。


そのまま急いで部屋を出ようと無言で走りだしたそのとき



「っ…、待てよ!」



とっさに後ろから翔の声がして



「…――っ」



ガシッと腕をつかまれた。
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