修学旅行★幼なじみと甘いキス
「うわぁーん!
加奈子ぉおかえり!よかった戻ってきてくれて!」
それから10分後…
なんとか無事、元の部屋へと帰って来たわたしに
今までジッとここで大人しく待機していた様子のみんなが、一斉に駆け寄ってきてくれた。
中でもあさみちゃんは人一倍心配して待っていてくれたのか、
勢いよく駆け出してきたかと思うと、そのままガバッと!抱きつかれてしまい
わたしも慌てて抱きしめかえす。
「ごめんね心配かけて…」
「ううん謝るのはあたしの方!あたしが無計画なこと企画したから……!」
「……」
「とにかく、加奈子が無事戻ってきてくれてよかった……」
そう言って一人ウッウッと泣き出したあさみちゃんに、
側にいた男子たちもヤレヤレと言うような、ホッとした顔を浮かべてる。
「よかったよかった」
「これでようやくひと安心だな♪」
「俺らマジで心配したもんな」
このとき、わやわやと皆で笑い合うその様子を
後ろから控えめな笑顔で見つめながら
でもどこか一瞬…、
ふと浮かない表情をのぞかせた直哉くんが
とっさに目を伏せたようにこうつぶやいた。
「…俺たちも戻ろう」
「えっ!?もう!?」
「つーか今帰って来たばっかなのに?!」
その問いに答えることなく、
突然スッと背を向けたかと思うと
そのまま無言で部屋をあとにして行ってしまった直哉くんに
何も知らない勇樹くんたちはあっけに取られたまま、しばらくしてお互い「?」と首をひねる。
「…どうしたんだ?直のやつ」
「さぁ…」
「もしやデジカメ取りにいかせられたこと
すっげー根に持ってるとか?;」
「おい待てよ直哉~!;」
「ね、ねぇ加奈子。
直哉くん今、なんかちょっと元気なくなかった?
どうしたんだろ…」
いつもと様子のおかしい直哉くんに気づいたのか
あさみちゃん達もオロオロしてる。
その隣で
わたしは本当のことを話すこともできず、
ひたすら男子たちが追いかけていった方向を見つめたまま、黙っていた。
「……」