修学旅行★幼なじみと甘いキス
「……」
“俺だって、本当はあいつよりも前から加奈子を見てた。ずっと、好きだった…!”
“……!”
“ガキん時から、ずっと!”
でもこの時、ふとあの翔の言葉が頭をよぎって、
メールを打とうとしていたわたしの手がとっさにピタッと止まる。
そしてしばらくの間、
何も書かれていない真っ白な画面を見つめていたあと
結局そのままケータイを閉じ、
再びバサッと勢いよく布団をかぶった。
「……っ」
ギュッ
“待ってる”
“!”
“加奈子からの返事、ずっと待ってっから!”
…この夜。
あの幼なじみの翔のことが、一度もわたしの頭から離れることはなくて。
今も多分、この真下の部屋できっと何かを考えていると思う直哉くんに、
直接わたしからメールを送ることはしなかった。
…できなかった。