修学旅行★幼なじみと甘いキス
◆傷つけた背中
ガヤガヤ
―結局、その夜はまともに眠ることもできず
むかえた修学旅行二日目。
朝食を終え、部屋の後片付けも済んだわたしたちは
出発式のため、1階のロビーに集まっていた。
「えー、今日はこのあと班別行動となっている。
札幌市内ならどこを回っても構わないが、あまり勝手な行動は起こさないように」
前では担任の先生が、今日一日の主な予定を淡々と読み上げていて
近くにいた男子たちが、とたんにはやし立てる。
「ヒュッ♪」
「いぇい!」
「よっ、待ってました!自由行動!」
「これで遊びまくれる~♪」
「ねぇねぇ、どこ行くどこ行く?」
これから始まる今日一日のスケジュールに
ロビー内はすっかりガヤガヤと色めき立つ中
ようやくひととおり話し終えた様子の先生が、突然ゴホンと大きな咳払いをしてみせた。
「あー、あとそれから最後に。
昨日あれほど念を押したにも関わらず、
消灯時間後、館内を出歩き大騒ぎしていた生徒を見かけたとの報告が来ているが…」
ギ、クッ…!!
思わずそんな音が聞こえるくらい
さっきまではっちゃけていた全員の顔が一斉にピシッと引きつったかと思うと
誰かが急いで「ハハ」っと笑い出す。
「…な、何言ってんすかセンセイ!俺らちゃんと寝てましたって!」
「そうそう!気のせいっスよ気のせい!」
「どうせ誰かの見間違いじゃぁないんすか?!」
そう言って、何とか昨日の悪さをごまかそうと
男子たちのあからさま過ぎる必死の言い訳が飛び交う中…
「(ヒソ…)ねぇねぇ聞いた?
昨日の、高橋さんたちの話」
その騒ぎに紛れて
何やらヒソヒソとウワサする女の子たちの声がした。